もう3年前くらいになるだろうか。渋谷のとある食品売り場に行ったとき、デニムのジャケットとスカート姿の人とすれ違った。デニムのジャケットとスカート自体は古い新しいはともかく、ないファッションではない。でも、今どきどうよと思って、すれ違った人を目で追って驚いた。どう見ても男性だったのだ。また、よりによって客の入りが少ない時間帯だものだから、目立つ目立つ。しかも「女装」している雰囲気ではない。髪型も男性によく見かける髪型だったし、化粧をしている気配もない。でも、ニコニコしている。「渋谷だったらいるよな」っていうファッションもあるけど、それとは明らかに違う。売り場の女性店員たちも、やや引きつった表情で「彼」を目で追っていた。あれは彼のファッションだったのか。それとも彼は自分を女性と思っていたのか。もしくは何かの罰ゲームか。それ以降、しばらく「スカートをはいた男」の姿は見なかったが、昨年頃から「スカート男子」だの「レギンス男子」だのが街に出没しているらしい。
「スカート男子」&「レギンス男子」ってなぜ? – 教えて!ウォッチャー http://bit.ly/a15F1
まあ、「なぜ?」って思うよな。上の記事をたどっていくと、次のような「教えて!goo」のページがあった。
最近の若者(男)が女性化している現象について – 流行・カルチャー – 教えて!goo http://bit.ly/ciJQWX
どうして男の人はスカートを穿いたらダメなの?と訊かれたら – その他(ライフ) – 教えて!goo http://bit.ly/cUrxRq
乱暴に要約すると「ジェンダーフリーの時代の若い男は、服装で男らしさ・女らしさを判断しない」というようなことらしいが、言い方を変えれば「女性は男性の服装をしても咎められないのに、男性が女性の服装をしていると咎められるのは不公平だ」というように聞こえる。もし、そういう感覚でスカートをはいている男がいたら「へ理屈にもほどがある」と言いたい。まあ、「メンズスカート」 とか「メンズブラ」なんてものを世に出すメーカーがいるから、そういう連中も助長するのだという話もあるが、メーカーは売れるものがあれば売るのが商売だから、そこはどうでもいい。あと、スコットランド人はスカート(キルト)をはいているではないかという話を持ってくる人間もいるが、あれはスコットランドの話であって日本の話ではない。そもそもの文化が違う。その話が通るなら日本では着物を着ているではないかとスコットランドでスコットランド人が着物を着て会社に行っても誰も指をささないということになる。
上のリンク先にある「どうして男の人はスカートを穿いたらダメなの?と訊かれたら」という問いに対する答えが、間が抜けているものが多いのにも驚いた。「男の人がスカートをはいたらダメ」と言おうとするから、その理由が説明できずに悩んでしまうのであって、「男の人がスカートをはいたら変だから」と言えばいいだけの話だ。
確かに衣服の歴史を遡っていくと、男女ともにスカート状の衣服を身に着けていた時代は存在するらしい。だが、ここ数世紀はスカートは女性の象徴的な衣服だったわけだ。日本においても古くから女性用の衣服と男性用の衣服は機能もデザインも異なっていただろう。そこをへ理屈こねてスカートをはく意味がわからない。ファッションだからと本人は思っていても、女装癖と思う人間が多いわけで、周囲の反応といったものを全く無視している。
そこまで言うと、パンツルックの女性はどうなのだと言い返そうとする人間が出てくる。これも様々な理由があるのだが、簡単に言えば「今までの男並に働く」女性は、パンツルックでも違和感はないということだ。女性の「男性社会への進出」が女性のパンツルックを容認している向きもあると思う。だからここで「男性の女性社会への進出」が顕著になり、その必要性が認められれば男性のスカート姿も容認されるようになるかもしれないが、一般庶民で「女性社会に男性が進出している」という意識のある人は多くはないだろう。その意識が浸透しない限り、日本における男のスカート姿は「変」だし、その「偏見」に抗う理由もわからない。
「ジェンダーフリーなのだから、スカートを男性がはいてはダメというのはナンセンス」
という発想は、ことの本質を無視して上っ面のルールブックを棒読みしているようなものだ。スカートをはくことを止めはしないが、大半の人間が偏見の目で見つめることは覚悟したほうがいいだろう。社会から孤立したくなければ、日本男児においてはスカートをはかないほうがいいと思う。それになぜ気付かないのか。

